問39 | ひき逃げの場合の被害者の補償はどうなっているのですか。 |
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- 答え
- 政府の保障事業に申請することにより、法令で定める限度額内で補償されます。
ひき逃げで加害者が不明な場合は、加害者からも自賠責からも補償を受けられません。また加害者の車に自賠責保険が締結されていない場合(無保険車)、または盗難車(保有者の管理責任が問われない場合)による交通事故で死傷した場合の被害者は、自賠責保険への請求ができないため、加害者側自身が賠償しなければ補償を受けられないことになります。そのため、このような場合には自賠法第72条(注)により、被害者は政府の保障事業に対し請求ができるようになっています。
注 自動車損害賠償保障法 第72条(業務)
政府は、自動車の運行によって生命又は身体を害された者がある場合において、その自動車の保有者が明らかでないため被害者が第3条の規定による損害賠償の請求をすることができないときは、被害者の請求により、政令で定める金額の限度において、その受けた損害をてん補する。責任保険の被保険者及び責任共済の被共済者以外の者が、第3条の規定によって損害賠償の責に任ずる場合(その責任が第10条に規定する自動車の運行によって生ずる場合を除く。)も、被害者の請求により、政令で定める金額の限度において、その受けた損害をてん補する。
政府の保障事業は、国が加害者にかわって被害者が受けた損害を補償する制度です。政府の保障事業への請求は、保険会社などで受付けています。なお、この制度は人身事故に対する損害を対象としており、物損事故の損害は対象となりません。
支払限度額は自賠責保険と同じですが、以下の点が異なります。
- 1.
- 請求できるのは被害者側のみとなります。加害者からは請求できません。
- 2.
- 健康保険や労災保険などの社会保険による給付が受けられる場合は、その金額は差し引いて支払われます。
- 3.
- 政府は保障事業として被害者に支払った金額について加害者に求償を行います。
政府の保障事業の対象とならない主な場合は次のとおりです。
- 1.
- 加害者に賠償責任が発生しない場合
- 2.
- 被害者が保有者、運転者など、自賠法で定める「他人」にあたらない場合
- 3.
- 自動車の運行によって死傷したものではないとき
- 4.
- 請求期限(3年)を過ぎたとき
盗難車による人身事故での賠償責任
- 自動車を盗んだ人が起こした人身事故についても、盗難の被害者である所有者が自賠法上の賠償責任を問われることがあります。例えば、エンジンキーをつけたまま車を路上に放置していたなどのように、所有者に車の管理において落ち度があった場合等がこれに該当します。