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くるまの保険 / 交通事故対応等

問27

交通事故を起こしたときの加害者の責任について教えてください。

答え
加害者は、刑事上、行政上、民事上の責任とともに、道義的責任があります。損害賠償責任は、民事上の責任に基づくものです。

交通事故で他人に損害を与えた場合には、加害者は法律上、次の3つの責任を負います。

刑事上の責任:罰金・禁錮等の刑事処分を受けること
行政上の責任:運転免許の停止・取消し等の行政処分を受けること
民事上の責任:被害者に対する損害を賠償すること

その他に、法令に基づく責任ではありませんが、加害者が被害者を見舞い、誠実に謝罪するという、④道義的責任があります。

交通事故を起こしたときの被害者に対する加害者の損害賠償責任は、これらの責任のうちの民事上の責任に基づくもので、自賠責保険や自動車保険の賠償責任保険は、万が一の場合に自動車交通事故の加害者となり、損害賠償責任を負うことになったときに備えるためのものです。

一般的に損害賠償責任は、民法第709条(注1)に基づき不法行為による被害者の損害について加害者が負うことになりますが、この場合には、加害者に故意や過失があったこと、加害行為と被害者の損害の間に因果関係があったことなどを被害者が立証しなければなりません。

注1 民法第709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

人身事故の場合については、自動車損害賠償保障法(自賠法)において、加害者の賠償資力を確保して被害者救済を図るために、自動車の保有者に自賠責保険の契約を義務付けています(注2)。

注2 自動車損害賠償保障法 第5条(責任保険又は責任共済の契約の締結強制)
自動車は、これについてこの法律で定める自動車損害賠償責任保険(以下「責任保険」という。)又は自動車損害賠償責任共済(以下「責任共済」という。)の契約が締結されているものでなければ、運行の用に供してはならない。

自賠法では、第3条(注3)において、被害者救済の観点から、運行供用者(加害者)が次の3点すべてについて証明できない場合には損害賠償責任を負うと定め、加害者に無過失責任(過失がなくても責任を負うこと)に近い責任を負わせている点に特徴があります。

自己および運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと
被害者または運転者以外の第三者に故意または過失があったこと
自動車に構造上の欠陥または機能の障害がなかったこと

注3 自動車損害賠償保障法 第3条(自動車損害賠償責任)
自己のために自動車を運行(※)の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があったこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかったことを証明したときは、この限りでない。

自動車の運行とは、人または物を運送するとしないに関わらず、自動車を当該装置の用い方に従って用いることをいいます(自賠法第2条)。通常の走行のほか、ドアの開閉、クレーン車のクレーンの上下、ダンプカーの荷台の上下などを含みます。

自賠責保険は、他人の生命・身体に係る損害賠償責任に備えるためのものですが、支払限度額があることから、その限度額を超える損害については保険金が支払われません。そのような損害をカバーするには任意の自動車保険を契約する必要があります。

物損事故の場合については、加害者が他人の財物に損害を与えたときに、民法第709条に基づき損害賠償責任を負うこととなります。

任意の自動車保険では、対人・対物賠償ごとに保険金額を無制限にすることもできますので、万が一の場合に高額な損害賠償責任を負ったときにも備えることができます。

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