問6 | 任意の自動車保険は、 |
---|
- 答え
- 自動車事故による様々な損害を補償する保険であり、①他人の身体や財物に与えた損害を補償する保険(賠償損害)、②運転者や同乗者が被った身体の傷害を補償する保険(傷害)、③自分の自動車が被った損害を補償する保険(物損害)などを組み合わせて契約する保険です。
自動車保険には、法律で契約することが義務付けられている自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)(「問1」参照)がありますが、これとは区別する意味で、契約者が任意に契約する保険を「任意の自動車保険」と呼んでいます。
各保険会社では、様々なタイプの任意の自動車保険を開発し販売しています。例えば、自家用自動車を対象とする自動車保険では、「対人賠償保険」「対物賠償保険」「人身傷害保険」「搭乗者傷害保険」「無保険車傷害保険」「自損事故保険」「車両保険」のうち、いくつかの保険を組み合わせて販売しています。
最近では、「搭乗者傷害保険」「無保険車傷害保険」「自損事故保険」の補償内容を、「人身傷害保険」に含めて販売している会社もあります。
自動車事故による損害の種類と自動車の保険は、次のような関係になっています。
損害の種類 | 事例 | 対応する保険 | |
---|---|---|---|
賠償損害 | 他人の 損害 |
|
(自賠責保険) 対人賠償保険 |
他人の 財物 |
|
対物賠償保険 | |
傷害 | 運転者・ 同乗者 |
|
人身傷害保険 搭乗者傷害保険 自損事故保険 |
|
人身傷害保険 無保険車傷害保険 |
||
物損害 | 自分の車 |
|
車両保険 |
自賠責保険の補償には、死亡による損害の場合で3,000万円などのように一定の限度があります。近年、人身事故による損害賠償額は高額になる場合が多くなってきており、自賠責保険だけでは十分とはいえません。万が一のために、任意の自動車保険で十分な賠償資力を備えておくことが大切です。
もしも自賠責保険を契約していない状態で人身事故を起こしてしまった場合には、自賠責保険を契約していたならば支払われるであろう保険金の金額を差し引いて、任意の自動車保険の対人賠償保険から支払われることになります。
〈例〉
人身事故による損害賠償額 | 4,500万円 |
---|---|
自賠責保険を契約していれば支払われると推定される金額 | 3,000万円 |
対人賠償保険限度額 | 無制限 |
対人賠償保険から支払われる金額 | 1,500万円 |
また、自賠責保険は、自動車による人身事故の被害者を救済することを目的としているため、自分自身の傷害、物損事故に関する賠償責任、自分の自動車の損害などは自賠責保険では補償されません。このような自動車事故に伴う多様な損害に備えるためにも、任意の自動車保険の契約が必要になります。
〈人身事故の高額判決例〉
認定総損害額 | 裁判所 | 判決年 | 事故年 | 被害者 性年齢 |
被害者職業 | 被害態様 |
---|---|---|---|---|---|---|
52,853万円 | 横浜地裁 | 2011年 | 2009年 | 男41歳 | 眼科開業医 | 死亡 |
45,381万円 | 札幌地裁 | 2016年 | 2009年 | 男30歳 | 公務員 | 後遺障害 |
45,375万円 | 横浜地裁 | 2017年 | 2012年 | 男50歳 | コンサルタント | 後遺障害 |
43,961万円 | 鹿児島地裁 | 2016年 | 2010年 | 女58歳 | 専門学校教諭 | 後遺障害 |
39,725万円 | 横浜地裁 | 2011年 | 2003年 | 男21歳 | 大学生 | 後遺障害 |
39,510万円 | 名古屋地裁 | 2011年 | 2007年 | 男20歳 | 大学生 | 後遺障害 |
〈物損事故の高額判決例〉
認定総損害額 | 裁判所 | 判決年 | 事故年 | 被害物件 |
---|---|---|---|---|
26,135万円 | 神戸地裁 | 1994年 | 1985年 | 積荷(呉服・洋服・毛皮) |
13,450万円 | 東京地裁 | 1996年 | 1991年 | 店舗(パチンコ店) |
12,036万円 | 福岡地裁 | 1980年 | 1975年 | 電車・線路・家屋 |
11,798万円 | 大阪地裁 | 2011年 | 2007年 | トレーラー |
11,347万円 | 千葉地裁 | 1998年 | 1992年 | 電車 |
●出典:「 2020年度(2019年度統計)自動車保険の概況(損害保険料率算出機構)」151ページ、152ページ