問28 | 過失割合とは、どのようなことをいうのですか。 |
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- 答え
- 加害者側、被害者側の双方に責任がある場合に、それぞれが負担すべき損害賠償責任の割合のことをいいます。
交通事故では、双方に責任があることが少なくありません。損害賠償額を決定する際において重要になるのが過失割合です。この過失割合は、加害者・被害者が負担すべき損害賠償責任の割合のことを指します。
民法第722条第2項(注)により、当事者間における損害額の公平負担の見地から、損害の発生・拡大について被害者にも過失がある場合には、その割合だけ損害賠償額が差し引かれることになります。これを過失相殺といいます。
注 民法 第722条(損害賠償の方法、中間利息の控除及び過失相殺)
1 (略)
2 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。
交通事故は事故形態がある程度定型化しており、過去の判例が蓄積されています。この判例に照らして、その事故の状況などを勘案のうえ、過失割合が決定されます。
〈交通事故の過失割合の判例〉
事故の状況 | 被害者の 過失割合 |
||
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加害者(車) | 被害者 | ||
イ | 横断歩道を赤信号で進入し衝突 | 歩行者が横断歩道を青信号で横断し衝突 | 0% |
ロ | 横断歩道を黄色信号で進入右左折し衝突 | 歩行者が横断歩道を信号点滅時横断し衝突 | 20% |
ハ | 赤信号で交差点に進入し衝突 | バイクが赤信号で交差点内に進入し衝突 | 40% |
- ※
- 事故の状況により加算・減算があります。
- ●参考文献:
- 東京地裁民事交通訴訟研究会編「『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準』全訂五版 別冊 判例タイムズ第38号」(判例タイムズ社(2014年発行))66ページ、82ページ、316ページ
自賠責保険では、被害者保護に重点を置いているため、民法第722条第2項に基づく「過失相殺」がそのまま適用されるのではなく、被害者に重大な過失があった場合のみ減額されることになっています。これを「重過失減額」といい、被害者に7割以上の過失がない場合には減額されることはありません(「問35」参照)。