問23 | 自動車保険の「等級」について教えてください。 |
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- 答え
- 自動車保険では保険期間中の事故の有無に応じて保険料の割増引が行われます。前年の契約の事故の有無が翌年の契約の保険料に反映されるというもので、この事故情報を「等級」として表示しています。
自動車保険では、事故の内容や回数に応じて、契約者ごとに「等級」が設定されており、この等級に応じて保険料が割増引されます。初めて自動車保険を契約した場合は6等級に位置付けられ、1年間事故がないと1等級上がって7等級となり、保険料が割引されます。逆に、事故を起こして保険金の支払いを受けると、1事故につき3等級下がって3等級となり、保険料が割増されます。
なお、有事故契約者と無事故契約者の保険料負担を公平にするため、有事故契約者は3年間、低い割引率が適用されます(3年間無事故で過ごせば、無事故契約者と同じ割引率が適用されます。)。
【等級別割増引率例】
等級 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
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無事故 | 108% | 63% | 38% | 7% | −2% | −13% | −27% | −38% | −44% | −46% |
有事故 | −14% | −15% | −18% | −19% |
等級 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
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無事故 | −48% | −50% | −51% | −52% | −53% | −54% | −55% | −56% | −57% | −63% |
有事故 | −20% | −22% | −24% | −25% | −28% | −32% | −44% | −46% | −50% | −51% |
- ※
- 継続契約の1〜6等級については無事故契約者は含まれないため、無事故・有事故の区分けはない。
【13等級で事故があった場合の例】
ただし、「等級」による保険料の割増引は、ノンフリート契約者に対して適用される料率制度で、フリート契約者に対しては、別の料率制度があります(「問22」参照)。
盗難や台風、洪水、高潮などによって車両保険の保険金を受け取った場合などは、1事故につき1等級下がります(これを「1等級ダウン事故」といいます。)また、1年間、有事故契約者の低い割引率が適用されます(1年間無事故で過ごせば、無事故契約者と同じ割引率が適用されます。)。
このほか、ケガにより人身傷害保険の保険金を受け取ったとしても、事故がなかったものとして1等級アップする場合(これを「ノーカウント事故」といいます。)があります。取扱いは各社によって異なる場合がありますので、詳しくは保険会社または代理店に問い合わせることが必要です。
満期の際に契約継続の手続きを行えば、前契約の等級を継承することができます。しかし、満期日から一定の期間を過ぎても契約継続の手続きを行わなかった場合には、新規契約として扱われ、それまでの等級アップによる割引が受けられないことになります。契約継続の手続きを忘れることのないようにするために、保険会社では契約者に連絡するようにしていますが、満期日の管理には十分注意する必要があります。なお、契約者から継続しない旨の意思が示されない限り、自動的に契約を継続する特約を用意している保険会社もあります。
契約時に特定した自動車(以下「被保険自動車」といいます。)の廃車・譲渡・返還等や契約者の海外渡航などに伴い、やむを得ず契約を中断する場合、一定の条件を満たせば、中断後に新たに契約する保険に中断した契約の等級を継承できる制度があります。これを「中断特則」といい、一般的に、解約日から13か月以内(または5年以内など)に手続きをする必要があります。また、その手続きにあたっては、中断証明書発行依頼書、保険証券、抹消登録証明書などの廃車・譲渡・返還等が確認できる資料が必要となります。
車の買い替えなど、被保険自動車を変更(車両入替)する必要が生じたときには、書面により保険会社へその旨を通知することが必要です。このときに保険会社が承認した場合には、契約内容を引継ぐことができます(「問24」参照)。
自動車保険の等級情報交換制度
- 自動車保険の等級情報交換制度は、自動車保険を契約した保険会社を変更した場合であっても前契約の等級が適切に継承されるように、保険会社間で確認を行っている制度であり、「自動車保険契約確認のための情報交換制度」が正式な名称となります。
- 契約を更新する保険会社が前年と同じであれば、その保険会社の中で契約者の前契約の等級(事故の発生の有無・件数など)を確認することで、等級を適切に継承することができますが、保険会社を変更した場合には、等級の正確な適用状況が把握できず、前契約の保険会社に確認を行う必要があります。こうした情報の確認を円滑に行い、契約者間の保険料負担の公平性を確保することを目的として、保険会社だけでなく共済組合も参画した制度を運営しています。
- 主なものとしては、次の制度があります。
- ①
- 1〜5等級・割増料率適用対象契約情報交換制度
- 前契約においてデメリット等級(1〜5等級、6F等級、事故有係数適用期間適用契約)を適用する等級であった場合には、契約者が他の保険会社(共済組合)に移ってもその等級をきちんと継承できるようにしておくことが必要です。このため、等級関連情報(注)を各保険会社(共済組合)から集めて、その情報を他の保険会社(共済組合)で契約の更新を行った場合に提供できるようにしています。
- ②
- 無事故・事故確認制度
- 契約者が前契約とは別の保険会社(共済組合)で契約を更新した場合、前契約の等級を引き継ぐために申告した等級が正確なものであるかどうかを確認する必要があります。このため、契約更新を受付けた保険会社(共済組合)が前契約の保険会社(共済組合)に等級関連情報(注)を確認できるようにしています。
注 等級関連情報とは、以下の内容(データ)になります。
取扱保険会社名、保険の種類、証券番号、契約者の氏名・住所、被保険者の氏名、車両所有者の氏名、車両登録番号、車台番号、用途車種、保険期間、解約・解除の有無、適用等級、事故の件数、保険事故年月日、事故有係数適用期間