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くるまの保険 / 任意の自動車保険

問14

自損事故保険は、どのような保険ですか。

答え
相手がいない事故などによる死傷など、自賠責保険や人身傷害保険による補償を受けることができない場合に、保険金が支払われる保険です。

電柱との衝突や崖からの転落などのような単独事故または相手側に責任がない場合(自身の過失割合が100%であるなど)には、自賠責保険(または政府保障事業(「問39」参照))からは保険金を受け取ることができなくなります。このような場合には、どこにも損害賠償請求ができないことから、自身に生じた損害は自身で回復するしかなく、被害者または遺族は経済的に困窮するおそれが生じることになります。自損事故保険は、このような自動車事故が発生した場合の被害者を救済することを目的に開発された保険です。

自損事故保険から保険金が支払われるには、次の条件を満たす必要があります。

1.
次のいずれかに該当する必要があります。
契約時に特定した自動車(以下「被保険自動車」といいます。)の運行に起因する事故
被保険自動車の運行中の、飛来中もしくは落下中の他物との衝突、火災、爆発または被保険自動車の落下(ただし、被保険者が被保険自動車の正規の乗車装置またはその装置のある室内に搭乗中である場合に限ります。)
2.
次の3要件をすべて満たす必要があります。
急激かつ偶然な外来の事故により身体に傷害を負った場合
自賠法第3条「ただし書き」に定められている内容(注1)に基づく損害賠償請求権が発生しない場合(注2)
人身傷害保険から保険金が支払われない場合(注3)

注1 自動車損害賠償保障法 第3条(自動車損害賠償責任)
自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命又は身体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかったこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があったこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかったことを証明したときは、この限りでない。

注2 自賠法第3条「ただし書き」に基づく損害賠償請求権が発生しない場合(例)
自損事故保険は、自損事故を補償対象としていますが、自損事故とは自身による単独事故だけではありません。相手方がある事故であっても、自賠法第3条の「ただし書き」に基づき、相手方が完全無過失とされた場合には、相手方の自賠責保険から補償は受けられません。この保険では、このような場合も「自損事故」として、補償対象としています。例えば、「自身が居眠り運転をして道路のセンターラインを飛び越し、対向車と正面衝突して死傷したケース」等がこれに該当することになります。

注3 人身傷害保険から保険金が支払われない場合(例)
人身傷害保険に、被保険者が被保険自動車の正規の乗車装置または当該装置のある室内に搭乗中である場合に限り保険金を支払う「自動車搭乗中のみ補償特約」が付帯(セット)されていた場合において、被保険者が車外に出ている際に自損事故(急な坂道の途中に停車していた車のサイドブレーキが外れて、坂の下にいたその車の運転者をひいてしまったケース等)により死傷した場合には、人身傷害保険から保険金が支払われません。

支払われる保険金の種類は、次のとおりです。

死亡保険金 事故による直接の結果として死亡した場合、あらかじめ約定された金額が法定相続人に支払われます。ただし、すでに支払われた後遺障害保険金があるときは、死亡保険金額からそれらを差し引いた残額が支払われます。
後遺障害保険金 事故による直接の結果として身体の一部を失いまたはその機能に重大な障害を永久に残したとき(症状を裏付けるに足りる医師による他覚所見のないものを除きます。)に後遺障害の程度に応じて支払われます。
介護費用保険金 事故による直接の結果として特定の後遺障害を被り、かつ介護を必要とすると認められる場合は、後遺障害保険金とは別に後遺障害の程度に応じて支払われます。
医療保険金 事故による直接の結果として生活機能または業務能力の滅失または減少をきたし、かつ医師の治療を要した場合は、平常の生活または業務に従事することができる程度に治った日までの治療日数に対して支払われます。

自損事故保険で、保険金が支払われない主な場合は、次のとおりです。また、日射・熱射などによる障害、本人が症状を訴えているが医師による他覚所見のないものについても保険金は支払われません。

1.
被保険者の故意によって生じた傷害
2.
被保険者の自殺行為・犯罪行為・闘争行為によって生じた傷害
3.
被保険者の無免許運転、酒酔い運転、麻薬・シンナーなどを使用した運転によって生じた傷害
4.
戦争、内乱、暴動などの異常な事態によって生じた傷害
5.
地震・噴火またはこれらによる津波によって生じた傷害
6.
被保険自動車を競技、曲技もしくは試験のために使用すること、または被保険自動車を競技、曲技もしくは試験を行うことを目的とする場所において使用することによって生じた傷害

現在では、自損事故保険が開発された当時にはなかった人身傷害保険(「問11」参照)が過失割合に関係なく損害を補償するようになっていることから、人身傷害保険から保険金の支払いがあるときには自損事故保険から保険金を受け取ることができないようになっています。また、最近では、自損事故保険の補償内容を、人身傷害保険で補償している会社がありますので、不明な点があれば保険会社または代理店に確認しておくことが大切です。

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