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共通 / Ⅶ.契約者保護の仕組みについて

解説

①契約者保護の仕組み

1.
早期是正措置

保険会社の経営破綻を未然に防ぐための行政による監督手法で、契約者の保護を図ることを目的としています。
保険会社のソルベンシー・マージン比率が200%を下回った場合に、早期に経営の健全性の回復を図るため、金融庁長官によって早期是正措置がとられます。

(ソルベンシー・マージン比率)

保険会社は、保険金支払いや積立型保険の満期返戻金の支払いに備えて、準備金を積立てています。保険会社は、仮に巨大な災害や保険会社の資産価格の大幅な下落などによって通常の予測を超える危険(リスク)が発生した場合であっても、十分な支払能力を持っていなければなりません。この通常の予測を超える危険(リスク)に対しては、「自己資本」・「準備金」で対応することになります。保険会社がどれだけ「自己資本」・「準備金」などの支払余力を持っているかを数字で示したものが「ソルベンシー・マージン比率」です。各保険会社のディスクロージャー誌に掲載されています。
この比率は、通常の予測を超える危険(リスク)に相当する金額に対し、これに備えて保険会社が用意している資本金など(正味資産)の割合です。

(早期是正措置)

ソルベンシー・マージン比率は、通常200%以上であれば、その保険会社の経営の健全性に問題はないとされています。したがって、支払能力も問題ないということになります。200%を下回った場合には、金融庁長官はその状況に応じて、業務改善命令などの早期是正措置をとります。

ソルベンシー・マージン比率 措置の内容
200%未満 経営の改善計画の提出・実行の命令
100%未満 予定利率の変更などの命令
0%未満 業務の全部または一部の停止命令
2.
損害保険契約者保護機構

保険会社の破綻に対処するための仕組みとして損害保険契約者保護機構(以下「保護機構」といいます。)があります。保護機構は、破綻した保険会社の契約が健全な保険会社に円滑に移転できるように資金援助をしたり、保護機構自体が契約を引き継いだりして、契約が継続するようにします(注)。

日本国内において損害保険業免許を受けたすべての保険会社(外国会社を含む。再保険契約のみの会社など、保険業法により加入義務のない一部の会社を除く。)が保護機構に加入しています。

補償対象契約と補償割合は損害保険の種類などによって異なりますが、いわゆる「共済」や少額短期保険業者の引受けた契約は保護機構の補償の対象にはなりません。

保険業法 第259条(目的)

保険契約者保護機構(以下この節、次節、第5編及び第6編において「機構」という。)は、破綻保険会社に係る保険契約の移転等における資金援助、承継保険会社の経営管理、保険契約の引受け、補償対象保険金の支払いに係る資金援助及び保険金請求権等の買取りを行う等により、保険契約者等の保護を図り、もって保険業に対する信頼性を維持することを目的とする。

【損害保険契約者保護機構による補償対象】

  保険金支払い 解約返戻金・
満期返戻金など








自賠責保険、家計地震保険 補償割合100%
任意の自動車保険
火災保険
その他の損害保険
(賠償責任保険、動産総合保険など)
破綻後3か月間は補償割合100%
3か月経過後は補償割合80%
補償割合80%










短期の傷害保険
特定の海外旅行保険
年金払型積立傷害保険
財産形成貯蓄傷害保険
確定拠出年金傷害保険
補償割合90% 補償割合90%
その他の疾病・傷害保険
(上記以外の傷害保険、所得補償
保険、医療・介護(費用)保険など)
補償割合90%
(積立型保険の場合、
積立部分は80%)

★印の保険については、契約者が個人・小規模法人・マンション管理組合の契約に限る。

なお、詳細については損害保険契約者保護機構のホームページ(http://www.sonpohogo.or.jp/)か損害保険契約者保護機構のパンフレットでご確認ください。

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