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共通 / Ⅲ.損害保険の募集形態について

質問

代理店が保険商品を募集する際に禁止されている事項はありますか?

答え
保険料の割引など特別の利益の提供を約束することや、虚偽のことを告げたり、重要な事項を告げない行為、重要な事項につき虚偽のことを告げることを勧める行為などが禁止されています。

保険業法第300条、保険業法施行規則第234条では、保険販売に関し次の行為を禁止しています。下記項目の1〜8が保険業法第300条の規定、9・10が保険業法施行規則第234条の規定になっています。

項目 内容
1.
虚偽のことを告げる行為
募集人が、契約者または被保険者に対して、虚偽のことを告げること、または契約者または被保険者の判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項(保険料、保険期間、補償内容、保険金を支払わない場合など)を告げないこと。
2.
重要事項について虚偽のことを告げることを勧める行為
募集人が、契約者または被保険者に対して、重要な事項(住所・氏名、保険の対象、他の契約の有無、事故歴など)について虚偽のことを告げることを勧めること。
3.
告知義務違反を勧める行為
募集人が、契約者または被保険者に対して、重要な事実を告げるのを妨げること、または告げないことを勧めること。
4.
不当な乗換募集行為
募集人が、契約者または被保険者に対して、不利益となる事実を告げずに、すでに成立している契約を解除(解約)させて新たな契約を勧めること。
5.
特別の利益の提供行為
募集人が、契約者または被保険者に対して、保険料の割引、割戻し、その他特別利益の提供を約束すること、または提供すること。
6.
契約内容の違法な比較行為
募集人が、契約者または被保険者に対して、他の保険商品との比較の中で有利な部分のみ説明し、不利な部分を説明しないこと。例えば、補償内容を比較せず、保険料のみを比較して他より有利であると説明すること。
7.
契約者配当・剰余金分配の予想などの行為
募集人が、契約者または被保険者に対して、不確実な事項について、断定的判断を示すこと。例えば、積立型保険の販売において、契約者配当金は予想配当額どおり必ず支払われると説明すること。
8.
保険会社のグループ会社などによる特別の利益の提供行為
保険会社のグループ会社などが、契約者または被保険者に対して、特別利益の供与を約束し、または提供していることを知りながら、契約の申込みをさせること。
9.
信用または支払い能力に関し、客観的事実に基づかない事実・数値の表示の禁止
募集人が、契約者または被保険者に対して、例えば、保険の勧誘にあたり、客観的事実に基づかない、「業界No1」などの説明を行うことなど。
10.
保険の種類・保険会社の誤解を招く行為の禁止
募集人が、契約者または被保険者に対して、例えば、生損保のセット商品の販売にあたり、生保商品の引受保険会社を説明しない行為など。

2016年5月29日施行の改正保険業法によって、代理店に対し、次の義務が新たに導入されました。

情報提供義務
(294条)
契約の締結または加入の適否を判断するのに必要な情報を説明しなければなりません。従来行ってきた重要事項説明(契約概要・注意喚起情報の交付・説明等)が、義務として法令で明文化されたものです。
意向把握義務
(294条の2)
次の事項について、消費者の意向を把握しなければなりません。
(ア)
どのような分野の補償を望んでいるか(保険種類)
(イ)
消費者が求める主な補償内容
(ウ)
保険期間、保険料、保険金額に関する範囲の希望、優先する事項の有無等
併せて、契約締結に際しては、消費者が締結しようとしている保険商品が把握した意向に合致しているか等を確認します(従来の意向確認義務)。
代理店の体制整備義務
(294条の3)
代理店は、保険募集の業務に関し、①重要事項説明、②顧客情報の適正な取扱い、③委託先管理、④乗合代理店における推奨販売・比較説明、⑤フランチャイズ代理店における保険募集人指導事業など、健全かつ適切な代理店の運営を確保する観点から、自店の規模・業務特性に応じて体制を整備しなければなりません。
上記①〜③は、保険会社に対する体制整備義務(100条の2)として、従来より所属保険会社経由で代理店にも対応が求められていた内容ですが、上記④および⑤は改正保険業法で新たに求められる内容になります。

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