解説 | ②損害保険の契約で使用される書類 |
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損害保険の契約にあたって使用される書類
- 1.
- 損害保険の契約では、次の書類が使用されます。内容を確認のうえ、大切に保管しておいてください。
- (1)
- 重要事項説明書(契約概要・注意喚起情報)
- (2)
- 約款
- (3)
- 保険証券
- (4)
- 保険料領収証(口座振替などの場合を除く。)
- 2.
- なお、保険種目により、約款の内容を分かりやすく記載した「契約のしおり」を契約時に配付している保険会社もあります。
重要事項説明書(契約概要・注意喚起情報)
損害保険の契約に際して、契約する保険に関する重要なことがらを記載した「契約概要」と「注意喚起情報」が渡されます。
「契約概要」には、商品の仕組み、補償内容、付帯(セット)できる主な特約、保険期間、保険金額、保険料に関する事項、保険料の払込みに関する事項、配当金に関する事項、解約返戻金の有無などが記載されています。
「注意喚起情報」には、クーリング・オフ、告知義務などの内容、保険期間の開始時期、保険金が支払われない場合の主なもの、保険料の払込猶予期間、契約の失効・復活、解除(解約)と解約返戻金の有無、セーフティネットなど、特に注意が必要な事項が記載されています(注1)。
注1 保険会社向けの総合的な監督指針 Ⅱ-4-2-2(保険契約の募集上の留意点)
(略)
- (2)
- 法第294条、法第300条の2関係(情報提供義務)
(略)
- ②
- 書面の交付又はこれに代替する電磁的方法により、情報の提供を行うにあたっては、顧客が保険商品の内容を理解するために必要な情報(以下、「契約概要」という。)と顧客に対して注意喚起すべき情報(以下、「注意喚起情報」という。)について、記載しているか。
なお、「契約概要」と「注意喚起情報」の主な項目は、以下のとおりとする。- (注1)
- 「契約概要」と「注意喚起情報」について、同一媒体を用いて一体で記載している場合には、以下のア.(ア)及びイ.(ア)について省略したうえで、当該情報を「契約情報」として表示することで足りる。
- (注2)
- 法第300条の2に規定する特定保険契約(以下、「特定保険契約」という。)については、法第294条第1項の規定は適用されず、法第300条の2で準用する金融商品取引法(以下、「準用金融商品取引法」という。)第37条の3第1項に規定する書面(以下、「契約締結前交付書面」という。)を交付又はこれに代替する電磁的方法メモによる提供を行う必要があることに留意すること。
- ア.
- 「契約概要」の項目
- (ア)
- 当該情報が「契約概要」であること。
- (イ)
- 商品の仕組み
- (ウ)
- 保障(補償)の内容
- (注)
- 保険金等の支払事由、支払事由に該当しない場合及び免責事由等の保険金等を支払わない場合について、それぞれ主なものを記載すること。保険金等を支払わない場合が通例でないときは、特に記載すること。
- (エ)
- 付加できる主な特約及びその概要
- (オ)
- 保険期間
- (カ)
- 引受条件(保険金額等)
- (キ)
- 保険料に関する事項
- (ク)
- 保険料払込みに関する事項(保険料払込方法、保険料払込期間)
- (ケ)
- 配当金に関する事項(配当金の有無、配当方法、配当額の決定方法)
- (コ)
- 解約返戻金等の有無及びそれらに関する事項
- イ.
- 「注意喚起情報」の項目
- (ア)
- 当該情報が「注意喚起情報」であること。
- (イ)
- クーリング・オフ(法第309条第1項に規定する保険契約の申込みの撤回等)
- (ウ)
- 告知義務等の内容
- (注)
- 危険増加によって保険料を増額しても保険契約が継続できない(保険期間の中途で終了する)場合がある旨の約款の定めがあるときは、それがどのような場合であるか、記載すること。
- (エ)
- 責任開始期
- (オ)
- 支払事由に該当しない場合及び免責事由等の保険金等を支払わない場合のうち主なもの。
- (注)
- 通例でないときは、特に記載すること。
- (カ)
- 保険料の払込猶予期間、契約の失効、復活等
- (注)
- 保険料の自動振替貸付制度を備えた保険商品については、当該制度の説明を含む。
- (キ)
- 解約と解約返戻金の有無
- (ク)
- セーフティネット
- (ケ)
- 手続実施基本契約の相手方となる指定ADR機関(法第2条第28項に規定する「指定紛争解決機関」をいう。以下同じ。)の商号又は名称(指定ADR機関が存在しない場合には、苦情処理措置及び紛争解決措置の内容)
- (コ)
- 補償重複に関する以下の事項
- (注)
- 補償重複とは、複数の損害保険契約の締結により、同一の被保険利益について同種の補償が複数存在している状態をいう。
- a.
- 補償内容が同種の保険契約が他にある場合は、補償重複となることがあること
- b.
- 補償重複の場合の保険金の支払に係る注意喚起
- c.
- 補償重複の主な事例
- (サ)
- 特に法令等で注意喚起することとされている事項
(略)
約款
- 1.
- 損害保険は、将来発生するかもしれない経済的損失を補償する商品です。また、多数の人の契約を前提とする損害保険契約においては、契約者ごとに契約内容を定めることは困難です。そこで、保険会社は契約の内容をあらかじめ「約款」として定めています。約款は保険会社が作成するものですが、契約者に対して拘束力を持つと考えられています。
- 2.
- 約款は、保険会社の責任(補償内容)や契約者・被保険者の義務等を定めており、普通保険約款と特約条項で構成されるのが通例です。
普通保険約款は、契約の標準的な内容にあたるもので、保険金を支払う場合・支払わない場合、保険の対象、保険金の支払額、告知義務、通知義務、損害発生時の通知義務などを定めています。
特約条項は、保険の対象となる物や人の危険(リスク)の実態や必要に応じて、標準的な契約内容である普通保険約款を修正・変更するもので、補償範囲を変更したりします。この特約条項は普通保険約款に優先して適用されます。
保険証券
- 1.
- 保険証券には、保険の対象、保険金額、保険料などが記載され、契約の成立および契約内容の証拠と解されています。
- 2.
- 保険法上、保険会社は、契約締結後、遅滞なく、保険証券を交付しなければならないとされています(注2)。(自賠責保険については自賠責保険証明書が交付されます。)
なお、自動的に契約を更新させるように設定した場合には、新たな保険証券は発行されず、保険契約継続証が送付されます。 - 3.
- 仮に保険証券を紛失・焼失などした場合であっても、保険会社へ契約者の氏名、住所、生年月日などを申し出ていただくことにより、保険会社の定める手続きを取れば、保険金の支払いを受けることができます。
- 注2
- 保険法 第6条(損害保険契約の締結時の書面交付)
保険者は、損害保険契約を締結したときは、遅滞なく、保険契約者に対し、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
- 一
- 保険者の氏名又は名称
- 二
- 保険契約者の氏名又は名称
- 三
- 被保険者の氏名又は名称その他の被保険者を特定するために必要な事項
- 四
- 保険事故
- 五
- その期間内に発生した保険事故による損害をてん補するものとして損害保険契約で定める期間
- 六
- 保険金額(保険給付の限度額として損害保険契約で定めるものをいう。以下この章において同じ。)又は保険金額の定めがないときはその旨
- 七
- 保険の目的物(保険事故によって損害が生ずることのある物として損害保険契約で定めるものをいう。以下この章において同じ。)があるときは、これを特定するために必要な事項
- 八
- 第9条ただし書に規定する約定保険価額があるときは、その約定保険価額
- 九
- 保険料及びその支払の方法
- 十
- 第29条第1項第1号の通知をすべき旨が定められているときは、その旨
- 十一
- 損害保険契約を締結した年月日
- 十二
- 書面を作成した年月日
【任意規定】
2 前項の書面には、保険者(法人その他の団体にあっては、その代表者)が署名し、又は記名押印しなければならない。【任意規定】
保険法 第69条(傷害疾病定額保険契約の締結時の書面交付)
保険者は、傷害疾病定額保険契約を締結したときは、遅滞なく、保険契約者に対し、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
- 一
- 保険者の氏名又は名称
- 二
- 保険契約者の氏名又は名称
- 三
- 被保険者の氏名その他の被保険者を特定するために必要な事項
- 四
- 保険金受取人の氏名又は名称その他の保険金受取人を特定するために必要な事項
- 五
- 給付事由
- 六
- その期間内に傷害疾病又は給付事由が発生した場合に保険給付を行うものとして傷害疾病定額保険契約で定める期間
- 七
- 保険給付の額及びその方法
- 八
- 保険料及びその支払の方法
- 九
- 第85条第1項第1号の通知をすべき旨が定められているときは、その旨
- 十
- 傷害疾病定額保険契約を締結した年月日
- 十一
- 書面を作成した年月日
【任意規定】
2 前項の書面には、保険者(法人その他の団体にあっては、その代表者)が署名し、又は記名押印しなければならない。【任意規定】