問67 | 地震保険の保険金額の設定にあたっては、どのような制限がありますか。 |
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- 答え
- 地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額に対して、30%〜50%の範囲内で決めます。ただし、建物は5,000万円、家財は1,000万円が限度額となります。
地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額とは別に定めることになっています。
〈例〉火災保険の保険金額が建物2,000万円、家財1,000万円の場合
火災保険の保険金額 | 地震保険の保険金額 | |
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建 物 | 2,000万円 | 30%(600万円)〜50%(1,000万円) |
家 財 | 1,000万円 | 30%(300万円)〜50%(500万円) |
火災保険の保険金額の30%〜50%の範囲で、建物は5,000万円、家財は1,000万円が限度額となります。すでに他の地震保険契約があって追加で契約する場合には、限度額から他の地震保険金額の合計額を差し引いた残額が追加契約の限度額になります(注1)。
注1 地震保険は、「地震保険に関する法律」で引受限度額(火災保険の保険金額の30%〜50%の範囲で、建物は5,000万円、家財は1,000万円を限度)が定められていることを前提に、地震災害発生時に重複保険が判明したときには、引受けている保険金額を適正な金額に修正して保険金を支払う仕組みとなっています。
上記のとおり保険金額の設定には限度があるので、地震保険の保険金で建物を元どおりに建て直すことはできません。ただし、地震保険の目的は、「地震保険に関する法律」(注2)において、被災物件の完全復旧ではなく、被災者の生活の安定に寄与することとされており、生活再建に大切な役目を果たします。
注2 地震保険に関する法律 第1条(目的)
この法律は、保険会社等が負う地震保険責任を政府が再保険することにより、地震保険の普及を図り、もって地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的とする。
地震はいつどこで発生するか予測ができず、また地震が発生した場合の被害は広域にわたり、関東大震災のような大規模な地震災害では、その損害額も巨額になります。地震による損害は、このように他の損害保険が補償する危険(リスク)とは質を異にし、本来的には損害保険の補償の対象にすることが極めて難しい危険(リスク)であるといえます。
こうした背景から、地震保険においては、国の再保険制度によって、保険金支払いをバックアップする仕組みが採用されています(「問69」参照)が、それでも一定の制約のもとでの補償内容にせざるを得ないのが実状になっています。
地震保険の契約要件
- 「地震保険に関する法律」では、地震保険の契約要件を定めています。保険会社が販売する通常の保険商品とは異なり、保険金額の設定方法や限度額についても法令で定められていることになります。
地震保険に関する法律 第2条(定義)
1 (略)
2 この法律において「地震保険契約」とは、次に掲げる要件を備える損害保険契約(火災に係る共済契約を含む。以下同じ。)をいう。
- 一
- (略)
- 二
- (略)
- 三
- (略)
- 四
- 附帯される損害保険契約の保険金額の100分の30以上100分の50以下の額に相当する金額(その金額が政令で定める金額を超えるときは、当該政令で定める金額)を保険金額とすること
3 (略)
地震保険に関する法律 施行令 第2条(保険金額の限度額)
法第2条第2項第4号に規定する政令で定める金額は、居住用建物については5,000万円、生活用動産については1,000万円とする。ただし、当該居住用建物又は生活用動産について既に締結されている地震保険契約がある場合には、これらの金額からそれぞれ当該既に締結されている地震保険契約の保険金額に相当する金額を控除した金額とする。