問54 | 住宅ローンを申込んだところ、火災保険の契約を求められました。住宅ローンと火災保険の関係はどうなっているのですか。 |
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- 答え
- 建物が住宅ローン返済の担保となっているため、金融機関が債権を保全する目的で火災保険の契約を求めることがあります。
住宅ローンのように、金融機関から融資を受ける場合には、金融機関はその土地・建物を担保に融資するのが一般的です。しかしながら、建物が火災で焼失してしまった場合には、建物の価値はゼロとなってしまうことから、金融機関は債権を保全することができなくなってしまいます。このため、金融機関は、債権の保全を目的として、住宅ローンの申込者に対し火災保険の契約を求めるとともに、保険金請求権に質権を設定することがあります。ただし、最近の住宅ローンでは、火災保険の契約を必須としていないこともあるようです。
保険金請求権に質権を設定した建物に損害が発生した場合には、契約者ではなく、金融機関などの質権者に対して優先的に保険金が支払われること(ただし、債権額が限度)になります。
保険金額を住宅ローンの借入残高に合わせて設定する場合、借入残高が建物の時価より低いと、支払われる保険金は建物の時価を下回ってしまいます。支払われる保険金で残りのローンを返済することはできるかもしれませんが、建物を修理したり建て直したりすることは難しくなります。こうしたことから、ローン残高に関係なく、保険金額を建物の時価いっぱいに設定することが重要です。
なお、同等の建物を再築・購入するためには、保険金額を時価ではなく再調達価額で設定する必要があります(「問55」参照)。
また、住宅ローンを申し込んだときの火災保険の必要性という観点では、火災保険を契約していないと、焼失してしまった建物の住宅ローンに加え、新たに建て直しのための住宅ローンも抱えることになり、二重ローンが重くのしかかってくるということが考えられます。
独立行政法人住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)の融資を受けた建物については、「特約火災保険」(住宅金融支援機構の融資利用者向けの専用商品)または住宅金融支援機構が定めた火災保険(選択対象火災保険(注))のうちから、いずれかを契約することになります。このうち「特約火災保険」の保険料は、一般の火災保険より割安に設定されていますが、家財についての契約はありませんので、別途、一般の火災保険を契約することが必要になります。
注 選択対象火災保険とは、一般の火災保険のうち「特約火災保険」と同等以上の補償内容の商品であることを住宅金融支援機構が確認した火災保険のことをいいます。