問51 | どの種類の火災保険でも、補償される範囲は同じですか。 |
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- 答え
- 火災保険の種類によって補償される範囲は異なります。例えば、火災だけではなく水災を補償する商品もありますので、それぞれのニーズに合わせて商品を選択する必要があります。
火災保険は、「火事で家が焼けてしまった」場合だけではなく、「落雷、破裂・爆発などで家が損壊した」といった損害も対象としています。
さらに、台風や暴風などの風災による損害や、大雪などの雪災による損害について、一定額以上に達するものであれば補償の対象(注1)としており、自然災害に備える保険ともいえます。自然災害については、洪水により家が流されたといった損害や、床上浸水(注2)になったといった損害、いわゆる水災による損害についても、一定割合以上に達するものであれば補償の対象(注3)としている商品もあります。
注1 「風災・雹(ひょう)災・雪災」の補償
最近では、風災や雪災などによる損害額が一定額(20万円など)に満たない場合でも補償する商品があります(あらかじめ自己負担額を設定するのが一般的です。
ただし、損害額が一定額以上となった場合に補償する商品(つまり、損害のすべてが補償されるわけではない商品)もあるので、注意が必要です。一定額以上としている理由は以下のとおりです。
- 自然災害が発生した場合、一度に多数の物件が罹災することが多い。例えば、いくつもの県を通過した台風の際に、屋根瓦が数枚飛ばされたり、飛来した小石で窓ガラスにひびが入ったりした程度の損害まで含めれば、罹災件数も損害額も著しいものとなる。個々の契約においては支払額は少額であっても、罹災物件の数が甚大となれば、支払能力に影響を及ぼしかねず、また、損害調査も非常に煩雑となりコストも要することとなる。そしてそれらの負担は、保険料に反映されることとなる。そこで、担保力の面からも損害調査の面からも、小損害を排除して、一定以上の損害を被った場合のみを支払いの対象にする途が採られてきた。
- ●参考文献:
- 損害保険料率算出機構編 「損害保険講座テキスト 火災保険論(2009年度版)」(公益財団法人損害保険事業総合研究所出版) 41〜42ページ
注2 床上浸水
火災保険における床上浸水とは、畳敷や板張など居住の用に供する部分の床(土間、たたきの類を除きます。)を超える浸水をいいます。
注3 「水災」の補償
水災は、全損時の場合等において損害額の一定割合(70%など)を補償する商品(つまり、損害のすべてが補償されるわけではない商品)があるので、注意が必要です。一定割合としている理由は、上記の注1の風災等の補償に制限があるのと同様です。
ただし、最近では、水災による損害額の全額(100%)を補償する商品もあります。
自然災害のうち、地震による建物の倒壊や火災(延焼・拡大を含む。)などについては、補償の対象となりませんので、地震保険を付帯(セット)して契約する必要があります。なお、地震保険は、火災保険の保険期間の中途でも付保が可能です。
泥棒によって家財が盗まれたり、窓ガラスが割られてしまったりした場合や、建物から一時的に持ち出した家財(注4)を壊してしまった場合、また、自動車が建物に飛び込んできて建物が壊された場合など、日常のハプニングによる損害を補償する商品もあります。
注4 「持ち出し家財」の補償
持ち出し家財とは、旅行や買い物、レジャーなどのために、建物から一時的に持ち出した家財のことをいい、これらに火災や盗難などによる損害が生じた場合に、保険金を支払う商品があります。日本国内の他の建築物内で生じた損害に限り、アーケード・地下道などのもっぱら通路に利用される場所で生じた損害は除くとするのが一般的になっています。
ただし、最近では、国内外・建築物内外・携行中か否かを問わず、自宅外にある家財の損害を補償する商品もあります。
なお、補償する範囲が広い商品ほど保険料が高くなりますので、留意して契約することが必要です。また、昨今、台風災害、風災、雹(ひょう)災、雪災、冬季の凍結や老朽化などで水道管等に生じた事故による水漏れ損害が増加していることなども踏まえ、必要となる補償範囲をよく検討して契約することが必要です。
火災保険で補償される主な損害は以下のとおりです。保険会社によって補償内容は異なっていますので、詳細については保険会社または代理店に確認することが必要です。なお、水回りのトラブルやカギの紛失など住まいのトラブルに対する各種のサービスが自動的にセットされる契約もあります。
損害保険金 |
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費用保険金 |
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※ 一定の制限付で補償される場合があります。
火災保険の中でも住宅総合保険の約款は、「火災」「落雷」「破裂・爆発」「風災・雹(ひょう)災・雪災」など、補償対象とする損害や事故の種類を個別に列挙して規定しています。このように約款で事故の種類などを個別に列挙している保険としてはほかに、「地震・噴火またはこれらによる津波」を保険事故とする地震保険があります。
これに対し、自動車保険における車両保険の約款では、「衝突」「接触」「墜落」「火災」「爆発」「盗難」などのように個別の事故を列挙しているものの、最後に「偶然な事故」と記載することにより、すべての保険事故を補償の対象にする規定になっています。各保険会社が用意する総合補償型の火災保険の約款も、個別の事故を列挙して最後に「不測かつ突発的な事故による破損・汚損」と記載しているものが多くなっています。
約款には、前者のように個別項目を限定的に列挙する方式と、後者のように網羅的に記載する方式(こうした形態を「オール・リスク」型の補償といいます。)があり、特に「オール・リスク」型の補償は保険金が支払われない場合に該当する事由以外はすべての損害を補償することになりますので、発生した損害が保険金の支払対象になっていることがあります。約款に記載のない事故が起こった場合であっても、不明な点があれば保険会社または代理店に確認してみることが大切です。