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すまいの保険 / 火災保険

問50

火災保険は、どのような保険ですか。

答え
火災保険は、火災だけではなく、風水災などの自然災害や、盗難などによって、「建物」や「家財」などに生じた損害を補償する保険です。

火災保険はその名のとおり、火災(注1)を原因とする損害を補償する保険です。しかし、現在では、風水災などの自然災害や盗難などのほか、損害が発生した際に付随的に発生する費用についても保険金が支払われる、総合補償型の商品(いわゆる総合保険)(注2)が一般的になっています。

注1 火災として考えられるもの
火災とは、一般的に「場所または時間に偶然性」があり、「火勢が自力で拡大する」ものをいいます。
このため、例えば燃焼しているストーブそのものや、火のついたタバコを畳の上に落とし畳の一部を焦がしたような場合には、火災とはいえません。火のついたタバコを畳の上に落として、焦げに留まらず、着火し、火として自力で拡大していくにつれ、火災として認識される状態になります。
火災保険で補償の対象となるのは、社会通念に照らして一般的に「火災」または「火事」として考えられているものとなります。

注2 各保険会社で販売されている商品の名称も、例えば、「すまいの総合保険」「家庭総合保険」など、総合保険という用語を使うケースや、単に「住まいの保険」とする会社が多くなっています。

自然災害については、「風災・雹(ひょう)災・雪災」と「水災」に対して保険金が支払われます。ただし、これらについては保険の種類により補償される範囲が異なっていますので、保険金支払いの対象となる自然災害はどこまでか、またどのような条件で保険金が支払われることになるのかを、契約時に確認することが必要です(「問51」参照)。

火災保険の契約方法は、「建物」と「家財」について、それぞれ別々に保険金額を設定して契約することとなります。また、賃貸住宅の場合には、「建物」については家主(建物の所有者)が契約しますが、「家財」については入居者自らが契約する必要があります。

火災保険は個人が所有する住宅や企業が所有する建物などにつけることができますが、家計分野の火災保険において一般的に、保険の対象にすることが可能なもの、保険の対象にならないものは、次のとおりです。

保険の対象にすることが可能なもの(例)
  • 住居専用建物およびこれに収容されている家財
    (門、塀、垣、物置、車庫その他の付属建物を含みます。)
保険の対象にならないもの(例)
  • 自動車
  • 通貨、有価証券、預貯金証書、印紙、切手、クレジットカード、プリペイドカード、電子マネー、プログラム、データ、その他これらに類するもの(注3)

注3 盗難の危険(リスク)が高く損害の認定が難しい家財であるため、対象外としていますが、補償対象とすることへのニーズの高まりがあることから、これらのうち通貨や預貯金証書については、建物に収容されている場合の盗難リスクのみ補償対象としている商品もあります。

貴金属・宝玉・宝石・書画・骨董(とう)・彫刻物その他の美術品のうち、1個または1組の価額が30万円を超えるものは、保険証券に明記されていなければ、補償の対象にならない場合があります。これを「明記物件」といいます。保険の対象にするには契約時に手続きを行うことが必要です。なお、契約時に明記しなくても(明記し忘れた場合でも)補償の対象とする商品もありますが、例えば、1個または1組の損害額が30万円を超える場合はその損害額を30万円とみなしたり、1回の事故につき限度額(合計100万円や300万円など)を設けたりしています。

火災保険で保険金支払いの対象となる主な損害や費用は、次のとおりです。ただし、保険の種類により補償される範囲が異なります。

建物や家財に発生した直接的な損害 火災、落雷、破裂・爆発、風災・雹(ひょう)災・雪災、水災、外部からの飛来物、水濡れ、盗難 など
損害が発生した際に付随的に発生する費用 消火活動に要した費用、災害時に必要となる臨時費用、焼け跡の後片づけに係る費用、失火による近所へのお詫びに係る費用 など

火災保険では、主として次のような事由によって生じた損害に対しては、保険金は支払われません。

1.
契約者、被保険者などの故意、重大な過失、法令違反
2.
戦争、内乱、暴動などの異常な事態
3.
地震・噴火またはこれらによる津波(注4)
4.
家財が屋外にある間に生じた盗難
5.
保険の対象の自然の消耗、劣化、性質による変色、さび、かび、腐敗、ひび割れ等によって生じた損害
6.
核燃料物質等による事故、放射能汚染によって生じた損害 など
注4 地震・噴火またはこれらによる津波(以下「地震等」といいます。)
地震等によって生じた火災に伴う損害については、次の理由により通常の保険としての仕組みが成り立ちにくいため、火災保険では引受けていません。地震等の災害に備えるには、地震保険を火災保険に付帯(セット)して契約する必要があります。
地震等の災害は、その発生が極めて不規則であることから発生確率の予測が難しく、損害保険の基本原則である「大数の法則」に乗りにくいこと。
いったん巨大な地震等の災害が発生すると、その被害が広範囲にわたって損害額が莫大なものになるおそれがあり、民間の保険会社の資力では対応できないこと。
過去に大きな地震が起きている地域に契約が集中するなど、地域的または時間的な逆選択(保険事故が起こりそうだと分かっている該当者だけが契約すること)が発生するおそれがあること。

地震火災費用保険金

  • 上記のとおり、地震等に伴う火災によって建物や家財が焼失した場合、火災保険では補償されません。しかしながら、この点については一般の消費者の理解が必ずしも十分ではなく、これらの場合にも火災保険で補償してほしいというニーズが少なからずあります。
  • こうしたことから、火災保険では損害を補償するのではなく、損害が発生した際に付随的に発生する費用に対して保険金を支払う形で、一定の補償が行われるようにしています。具体的には、地震等に伴う火災により、建物が「半焼」以上となった場合(※)に、「お見舞金」的に保険金が支払われること(保険金額の5%、1回の事故につき300万円限度など)になっています。なお、地震等による建物の倒壊など、火災が生じない場合の損害については対象外です。
家財が保険の対象となるときは、その家財を収容している建物が「半焼」以上となった場合または家財が「全焼」となった場合。

すまいの保険