問61 | 建物が全焼したため、火災保険の保険金の支払いを受けましたが、その火災保険はどうなるのでしょうか。 |
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- 答え
- 火災で建物が全焼した場合には、その火災保険契約は終了します。
火災で建物が全焼などにより滅失してしまい、その結果、保険金として保険金額の全部が支払われた場合(1回の事故につき保険金額の80%相当額を超えた場合としている火災保険もあります。)には、その損害の発生したときに契約は「終了」します。
これに対し、1回の事故による保険金支払額が保険金額に満たない場合(または保険金額の80%相当額以下の場合)には、保険金が支払われた後も保険金額から保険金相当額を減額せずに、2回目以降の事故の際も保険金額は変わらないものとして取扱うこと(以下「保険金額自動復元方式」といいます。)としています。したがって、こうした場合は、火災保険契約は継続します。
支払保険金が保険金額に満たない(または保険金額の80%相当額以下の)事故が発生した場合には、保険の対象となる建物が一部消滅しているので、保険金額を減額するのは当然であるという考え方(以下「残存保険金額方式」といいます。)もあります。しかし、特に家計分野の火災保険については、できる限り契約者に有利に取扱う方が望ましいという考え方に基づき、保険金額自動復元方式が採用されることになっています。
保険料の負担面でも契約者にとって有利な取扱いがあり、具体的には、残存保険金額方式の火災保険では、保険金額を復元して契約を継続する場合には追加保険料を支払う必要があるのに対し、保険金額自動復元方式の火災保険では、「復元分の保険金額に対応する保険料」を追加して支払うことは不要としています。
- ●参考文献:
- 東京海上火災保険株式会社 編「損害保険実務講座5 火災保険」(有斐閣(1992年発行))103〜104ページ