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すまいの保険 / 火災保険

問57

すでに火災保険をつけている建物に、別の火災保険を契約しようとする場合、注意することはありますか。

答え
すでに契約している火災保険と新たに契約しようとしている火災保険の保険金額の合計が、建物の保険価額を超えないようにする必要があります。また、新たに契約しようとする保険会社に、他の保険会社と契約していることを知らせる必要があります。

(契約時の対応)

火災保険の保険金の支払額は、損害が生じたときの建物の保険価額が限度になります。火災保険は財物に生じた実際の損害額に対し保険金を支払う保険ですので、損害額を超える保険金を取得するような不当利得、いわゆる「焼け太り」は認められていません。

保険金額を建物の価値(保険価額)を超えるほど高く設定しても、建物の価値(保険価額)までしか保険金は支払われないので、適正な保険金額を設定することが必要です。

また、他の火災保険契約(火災共済契約を含む。)については、告知義務の対象になっています。したがって、すでに火災保険がつけられている建物に、別の火災保険を契約しようとする場合には、新たに契約しようとする保険会社に、すでに他の保険会社と契約していることを知らせる必要があります。

(事故発生時の対応)

契約者または被保険者は、事故により損害が発生したことを知ったときは、損害の発生および他の保険契約等の有無・内容を保険会社に遅滞なく通知する義務を負っています。

(保険契約を複数締結している場合の保険金の支払い)

同じ損害を補償する保険契約を複数にわたり締結している場合、各保険会社に請求を行わなくとも1つの保険会社に請求をすれば、請求した保険契約の保険金の全額が支払われます(注)。
ただし、その保険会社と約定した保険金額を超えて保険金が支払われることはありませんので、支払われた保険金では損害額の全額に満たない場合には、他の保険会社に請求する必要があります。
なお、保険金を支払った保険会社は、他の保険会社等に対して分担額の請求を行います。

保険法

注 保険法 第20条(重複保険)
損害保険契約によりてん補すべき損害について他の損害保険契約がこれをてん補することとなっている場合においても、保険者は、てん補損害額の全額(前条に規定する場合にあっては、同条の規定により行うべき保険給付の額の全額)について、保険給付を行う義務を負う。【任意規定】
2 二以上の損害保険契約の各保険者が行うべき保険給付の額の合計額がてん補損害額(各損害保険契約に基づいて算定したてん補損害額が異なるときは、そのうち最も高い額。以下この項において同じ。)を超える場合において、保険者の一人が自己の負担部分(他の損害保険契約がないとする場合における各保険者が行うべき保険給付の額のその合計額に対する割合をてん補損害額に乗じて得た額をいう。以下この項において同じ。)を超えて保険給付を行い、これにより共同の免責を得たときは、当該保険者は、自己の負担部分を超える部分に限り、他の保険者に対し、各自の負担部分について求償権を有する。【任意規定】

また、時価ベースの契約と新価(再調達価額)ベースの契約を締結しており、時価ベースの契約から優先して支払うとされている場合には、各保険会社に請求する必要があります。

<例>

A社:
時価ベースの契約(他の保険契約が下記(B社)の新価(再調達価額)ベース契約である場合には、保険金の全額(時価分)を支払う契約)
B社:
新価(再調達価額)ベースの契約(他の保険契約で時価ベースにより支払われる損害保険金の額を差し引いて保険金を支払う契約)
  • 保険金額が時価4,000万円、新価5,000万円の建物で、建物が全焼(損害額:時価4,000万円、新価5,000万円)したケース
①A社に請求:
A社の支払保険金は4,000万円(保険金額の全額(時価分))
②B社に請求:
B社の支払保険金は1,000万円(5,000万円(新価ベース損害額)−4,000万円(時価ベース損害額))

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