問91 | 所得補償保険は、どのような保険ですか。 |
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- 答え
- 所得補償保険は、ケガや病気によって就業不能となった場合の所得の喪失を補償する保険です。
所得補償保険における「就業不能」とは、入院または医師の指示による自宅安静療養などのことで、ケガや病気のため医師の治療を要し、その直接の結果として保険証券に記載されている業務に全く従事できない状態をいいます。なお、ケガや病気での死亡や治癒後については就業不能に含まれません。
この保険は、会社員や自営業の方など、働いて収入を得ている方(年齢制限があります。)が契約の対象となりますが、専業主婦(家事従事者)でも契約できる商品を取扱っている保険会社もあります。このほか、保険期間を長期に設定できる商品もあります。
契約の際には、現在の健康状況などに関する告知書の提出を求められます。告知の内容によっては、契約できない場合や保険会社の提示する引受条件に基づき契約することになる場合があります。
補償の開始は、一定の免責期間(注1)を経過した時点から始まり、就業不能期間1か月につき、保険証券記載の保険金額(平均月間所得(注2)が保険金額より小さいときは平均月間所得額)が保険金として支払われます(傷害保険と同様に「定額払い」となります。)。就業不能期間が1か月に満たない場合、または1か月未満の端日数が生じた場合は、1か月を30日として計算した割合により保険金の額が決まります。なお、支払われる保険金には、あらかじめてん補期間(注3)が設定されてあり、就業不能期間がこれを超えるときにはてん補期間に対応する保険金が最高額となります。保険金支払いの具体例は、次のとおりです。
注1 免責期間とは、保険金支払いの対象外とする日数をいいます。
注2 平均月間所得とは、免責期間の直前12か月における被保険者の所得の平均月額をいいます。
注3 てん補期間とは、免責期間が終了した後から始まる保険金が支払われる最長期間(保険証券に記載された期間)をいいます。
〈例〉
保険金額を10万円(月額)、免責期間を7日間、てん補期間1年に設定して契約した場合
例えば、10月1日から6月22日まで(8か月22日間)、ケガや病気により働くことができなかった場合、保険金の支払い対象期間は、免責期間7日間を差し引いた8か月と15日間となります。1か月未満の端日数が生じた場合は1か月を30日として計算した割合により支払額が決まることから、支払われる保険金は、以下のとおり85万円になります。
所得補償保険で保険金が支払われない主な場合は、次のとおりです。
- 1.
- 契約者、被保険者、保険金受取人の故意または重大な過失による身体障害
- 2.
- 被保険者の自殺行為・犯罪行為・闘争行為による身体障害
- 3.
- 被保険者の麻薬・シンナーなどの使用による身体障害
- 4.
- 被保険者の妊娠・出産・早産・流産による身体障害
- 5.
- 戦争、内乱、暴動などの異常な事態による身体障害
- 6.
- 地震・噴火またはこれらによる津波による傷害
- 7.
- 被保険者の頸部症候群(むち打ち症)・腰痛・その他の症状で医師による他覚所見のないもの
- 8.
- 被保険者の精神病、精神薄弱、人格異常、アルコール依存症などの精神障害
社会保障制度における休業補償
- 所得補償保険は、ケガや病気で働けなくなったときの収入減を補償するための保険ですが、社会保障制度においても休業時には生活保障の観点で一定の給付がなされることになっています。
- 具体的には、仕事以外の事由で休業した場合には公的医療保険(健康保険など)から傷病手当金が支給され、労働者が業務上災害で休業となった場合には政府労災保険(労働者災害補償保険)から休業補償給付が行われます。支給開始日や給付が行われる期間などに制限がありますが、公的医療保険では1日あたり収入の3分の2相当分、政府労災保険では1日あたり収入の6割相当分について保障されることになっています。