問74 | 契約者と被保険者が異なる契約の場合に、契約締結時に被保険者に対して注意すべきことはありますか。 |
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- 答え
- 契約者以外の者を被保険者とする場合については、原則、被保険者の同意が必要となります。
契約の当事者以外の者を傷害保険の被保険者とする場合には、被保険者の同意が必要とされており、同意がなければ、その契約は無効となります。ただし、被保険者自身が保険金受取人である場合には、モラルリスクのおそれが一般的には少ないと考えられているため、保険法(注1)において同意は不要とされています。この点については、生命保険契約(注2)の取扱いとは異なります。
モラルリスク
- モラルリスクとは、保険金の不正取得を目的とした道徳的危険のことをいいます。損害保険業界では、保険犯罪の発生を未然に防ぐとともに、保険金の適正な支払いを確保し、損害保険制度の健全な運営を図ることを目的として、傷害保険契約等の「契約内容登録制度」を実施しています(「日本損害保険協会・生命保険協会の「契約内容登録制度」の違い」参照)。
注1 保険法 第67条(被保険者の同意)
傷害疾病定額保険契約の当事者以外の者を被保険者とする傷害疾病定額保険契約は、当該被保険者の同意がなければ、その効力を生じない。ただし、被保険者(被保険者の死亡に関する保険給付にあっては、被保険者又はその相続人)が保険金受取人である場合は、この限りでない。【強行規定】
2 前項ただし書の規定は、給付事由が傷害疾病による死亡のみである傷害疾病定額保険契約については、適用しない。【強行規定】
注2 保険法 第38条(被保険者の同意)
生命保険契約の当事者以外の者を被保険者とする死亡保険契約(保険者が被保険者の死亡に関し保険給付を行うことを約する生命保険契約をいう。以下この章において同じ。)は、当該被保険者の同意がなければ、その効力を生じない。【強行規定】
ただし、保険法において、被保険者自身が保険金受取人である場合の同意は不要と規定されているものの、保険会社の実務においては、一定の金額(1,000万円等)を超える契約を締結するときには、同意が求められる場合もあります。同意の取り付け方法としては、申込書の「被保険者の同意欄」への署名が一般的です。
また、契約者と被保険者が異なる契約で被保険者の同意がない場合や被保険者が未成年者(満15歳未満)の場合については、契約を引受けるうえでの保険金額の限度額を設定しています。上限金額は、金融審議会「保険の基本問題に関するワーキンググループ」での論議内容(「問73」参照)や日本損害保険協会が策定したガイドライン(注3)を踏まえて各社で設定していますが、一般的には、他社契約も含め、1,000万円を引受上限金額としている会社が多いようです。
注3 「傷害保険等のモラルリスク防止に係るガイドライン」」(2009年2月19日策定 2021年11月改定)より抜粋
- 3.
- 傷害保険等におけるモラルリスク対策
- (3)
- 「被保険者が未成年者(満15歳未満)」の契約を含む被保険者の同意を取り付けていない契約形態(注1)の傷害保険等に関する死亡保険金額の考え方(指針)
(注1)「保険契約者=被保険者の場合」は除く。
各会員会社における販売商品・契約形態等に応じ、次の考え方(指針)を参考に、モラルリスク防止のため適正な社内引受基準額を定めるものとする。
項 目 | 考え方(指針) |
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