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からだの保険・他 / 傷害保険

問78

傷害保険の「代理請求人制度」について教えてください。

答え
被保険者が保険金受取人である契約において、被保険者自身が保険金を請求できない事情がある場合で、かつ、被保険者の代理人がいないときに、所定の方が被保険者の代理請求人として、保険金を請求することができる制度です。

被保険者自身が存命であるにも関わらず保険金を請求できない事情がある場合(注1)で、保険金の支払いを受けるべき被保険者の代理人(成年後見人など)がいないときは、次のいずれかの方が、その事情を示す書類をもって、保険会社に申し出て、その承認を得たうえで被保険者に代わって保険金を請求することができます。

1.
被保険者と同居または生計を共にする配偶者
2.
被保険者と同居または生計を共にする3親等以内の親族
(上記「1.」に該当する方がいない場合、または上記「1.」に該当する方に保険金を請求できない事情がある場合)
3.
上記「1.」以外の配偶者または上記「2.」以外の3親等以内の親族
(上記「1.」「2.」に該当する方がいない場合、または上記「1.」「2.」に該当する方に保険金を請求できない事情がある場合)

注1 意識不明の状態など被保険者に意思能力がない場合(診断書や医師の見解を確認することなどによって、慎重に判断されます。)

保険金受取人である被保険者に意思能力がない(意識不明の状態など)と、保険金請求ができなくなってしまいます。こうした場合には、成年後見人(家庭裁判所での手続きと法務局への成年後見登記が必要)が保険金を請求することになりますが、このような方がいないことによる不都合が生じないようにするために、「代理請求人制度」が設けられています。

万が一、被保険者が保険金を請求できない場合に備えて、被保険者から上記の「1.」〜「3.」の方に対して、契約の存在や保険金の「代理請求人制度」があることをあらかじめ伝えておくことが大切です。
なお、代理請求に必要な書類の例は、次のとおりです。

  • 被保険者が保険金を請求できない事情の届出書(代理請求人の実印を押印したもの)
  • 代理請求人の印鑑証明書
  • 代理請求人の住民票(続柄が記載されたもの)または健康保険証のコピー
  • 被保険者との続柄が確認できる戸籍謄本(住民票または健康保険証のコピーで続柄が確認できない場合)
  • 代理請求人以外の他の3親等以内の親族からの代理請求人に対する委任状(代理請求人が上記の「3.」の場合)

生命保険の「指定代理請求制度」

  • 傷害保険における「代理請求人制度」に類似した制度として、生命保険における「指定代理請求制度」があります。この制度は、被保険者が保険金受取人になる契約において、被保険者自身が保険金を請求できない事情がある場合に、所定の方(注2)が被保険者の代理請求人として保険金を請求することができるというものです。この点については傷害保険における「代理請求人制度」と同様の取扱いであるといえますが、例えばリビングニーズ特約(被保険者の余命が数か月以内と診断されたときに、生存中に死亡保険金を請求できる特約)が付帯(セット)された契約においては、例えば被保険者本人がガンであることを知らされていないときには保険金を請求することができないので、こうしたケースについても「指定代理請求制度」では対象としています。傷害保険ではガンのような疾病は保険金支払いの対象外ですので、事情が異なるといえますが、傷害保険の制度にはない取扱いが含まれていると考えることができます。なお、指定代理請求人については、あらかじめ契約者が指定しておくことが必要です。

注2 指定代理請求人の範囲(※)

1.
被保険者の戸籍上の配偶者
2.
被保険者の直系血族
3.
被保険者の兄弟姉妹
4.
被保険者と同居または主契約の被保険者と生計を一にしている主契約の被保険者の3親等以内の親族
指定代理請求人の範囲は、生命保険会社によって異なります。

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