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からだの保険・他 / 海外旅行保険

問77

海外旅行保険は、どのような保険ですか。

答え
海外旅行中に被ったケガや病気による死亡・後遺障害・治療費用のほか、賠償責任、携行品損害、救援者費用などを補償する保険です。

海外旅行保険は、被保険者が海外旅行を目的として住居を出発してから帰着するまでの間(以下「旅行行程中」といいます。)に被る可能性のある各種の危険(リスク)を補償(注1)する保険です。各種の危険(リスク)を総合的に補償する商品のほか、必要な補償だけを選んで契約する、いわゆるバラ売りの商品も用意されています。また、インターネットでの申込みにより保険料が割引となる商品もあります。

注1 海外の滞在地や往復の航空機内だけでなく、住居から往きの空港に着くまでや帰りの空港から住居までといった、日本国内で発生した事故についても補償対象となります。

主な補償内容は次のとおりです(総合的に補償するタイプの場合)。

傷害治療費用 旅行行程中でのケガの治療費用を補償
疾病治療費用 旅行行程中での病気の治療費用(注2)を補償
傷害死亡 旅行行程中でのケガで死亡した場合を補償
傷害後遺障害 旅行行程中でのケガによって後遺障害を負った場合に補償
疾病死亡 旅行行程中での病気で死亡した場合を補償
賠償責任 旅行行程中に誤って他人にケガをさせたり他人の物を壊したりして法律上の賠償責任を負った場合を補償
携行品損害 旅行行程中に「被保険者が所有かつ携行する身の回り品」が盗難にあったり壊れたりした場合を補償
救援者費用 海外旅行先でケガや病気で入院して家族が現地に駆けつけた場合の費用を補償
航空機寄託手荷物遅延費用 手荷物の到着が遅れて身の回り品を購入した場合の費用を補償
航空機遅延費用 航空機が遅れて宿泊代・食事代などを別途自己負担した場合の費用を補償
旅行変更費用 被保険者や同行予定者などの死亡・危篤、被保険者などの入院、渡航先での地震・戦争・テロ行為などの発生のために出国を中止または海外旅行を途中で取り止めて帰国した場合の費用を補償

注2 病気の治療費用は、次のいずれかに該当する必要があります。

旅行行程中に発病した病気であって、旅行行程中または旅行行程終了後72時間までの間に医師の治療を受けた場合の費用
旅行行程中に感染した感染症(※)であって、海外旅行終了日から30日までの間に医師の治療を受けた場合の費用
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に規定する一類感染症から四類感染症までの感染症をいいます。

補償内容のうち、傷害・疾病による死亡・後遺障害・治療費用の補償について、保険金が支払われない主な場合をまとめると、次のとおりとなります。

傷害・
疾病共通
1.
契約者、被保険者、保険金受取人の故意または重大な過失による身体障害
2.
被保険者の自殺行為・犯罪行為・闘争行為による身体障害
3.
戦争、内乱等(テロ行為を除きます。)
4.
被保険者の頸部症候群(むち打ち症)・腰痛・その他の症状で医師による他覚所見のないもの
傷 害
1.
被保険者の無資格運転、酒酔い運転、麻薬・シンナーなどを使用した運転によって生じた傷害
2.
被保険者の脳疾患、心神喪失による傷害
疾 病
1.
被保険者が被った傷害に起因する疾病
2.
妊娠・出産・早産・流産に起因する疾病
3.
歯科疾病
4.
旅行開始前または旅行終了後72時間経過後に発病した疾病

通常、海外旅行保険を契約する場合には、保険期間を旅行日数に合わせて契約することになります(注3)が、留学や駐在といった海外で長期に滞在する場合には、保険期間を長期(滞在日数)に設定するとともに必要な補償を追加(注4)するなどして契約することが可能になっています。ただし、帰国予定のない場合や海外に永住される場合には、契約できません。

注3 被保険者の責めによらない次のような事由により帰国が遅延するときは、追加保険料を負担することなく保険期間の終了が延長されます。
【①最長72時間を限度に延長】

  • 被保険者が乗客として搭乗しているまたは搭乗予定の航空機、船舶、車両などの交通機関のうち、運行時刻が定められている交通機関の遅延、欠航、運休
  • もしくは交通機関の搭乗予約受付業務に過失があったことによる搭乗不能(いわゆるダブルブッキング)
  • 被保険者が医師の治療を受けたこと
  • 被保険者の旅券の盗難・紛失
  • 被保険者の同行家族または同行予定者が入院したこと

【②正常な旅行行程に復帰できるまでに要する時間で保険会社が妥当と認める時間を限度に延長】

  • 被保険者が乗客として搭乗している交通機関または被保険者が入場している施設に対する第三者による不法な支配または公権力による拘束
  • 被保険者に対する公権力による拘束
  • 被保険者が誘拐されたこと
  • 日本国外において、空港が閉鎖された結果、被保険者がその空港所在国を容易に出国できない状態になったこと

注4 通常の海外旅行保険は、短期旅行者を対象とした商品であることから、例えば、①借家人賠償責任、②自家用車の損害賠償責任、③家財の損害といった長期海外滞在時に特有に発生する可能性がある危険(リスク)には対応していないことが一般的と思われます。

海外旅行保険は、傷害保険を中心に様々な補償を用意した商品ですが、通常の傷害保険とは異なる次のような特徴があります。

1.
傷害により医師の治療を受けた場合、普通傷害保険や家族傷害保険などは、あらかじめ契約時に定められた金額が保険金として支払われる「定額払い」であるのに対して、海外旅行保険は、契約時に設定した保険金額を限度として治療のために要した「実費」が支払われることになります(傷害死亡保険金および傷害後遺障害保険金については「定額払い」)。
2.
普通傷害保険などでは保険金が支払われない「地震・噴火またはこれらによる津波」による傷害についても補償されます。また、普通傷害保険などでは対象外としている「細菌性食中毒・ウイルス性食中毒」についても、一定期間内に治療を受ければ補償の対象となります。

海外では日本に比べ治療費が高額になる場合もあり、海外でケガをしたり病気にかかって治療を受けたりする場合には、様々な問題が発生してくることが考えられます。
具体的には、どこの医療機関で治療を受ければ良いのかが分かりにくいということ、高額な治療費をその場で支払うことが可能かどうかということ、そして症状の説明や治療方法など専門的な医療用語について外国語でコミュニケーションが図れるかどうかということなどが考えられます。こうした事態に対応するため、海外旅行保険では、保険金を支払うという保険商品としての本来的な機能のほかに、次のようなサービスを提供している保険会社もあります。

  • 病院や医師の紹介・予約
  • キャッシュレス治療の手配
  • 医療通訳の手配

最後に、海外旅行保険の契約方法としては、保険会社や代理店での契約のほか、インターネットや空港でも契約することができます。保険会社によっては空港に専用窓口や自動販売機を設置して対応しています。