問81 | 海外では治療費が高額になる場合があるとのことですが、治療費の水準と海外旅行保険における対応を教えてください。 |
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- 答え
- 例えば、海外で盲腸(虫垂炎)の手術を受けると、国によっては数百万円の費用がかかる場合があります。このような事態に備えて、海外旅行保険では、ケガや病気の治療費に対する保険金支払いのほか、病院の紹介・手配などのサービスを提供しています。
海外では日本に比べ治療費が高額になるのが一般的です。例えば、ホノルルやロサンゼルスなどで盲腸(虫垂炎)の手術をして入院すると、数百万円かかるといわれています。また、日本では盲腸(虫垂炎)で手術すると1週間程度の入院が必要になるのですが、ホノルルやロサンゼルスでは平均入院日数が2日になるようです。また、海外の医療事情は日本とは大幅に異なり、医療機関に対して治療費の支払い能力の証明ができない場合(海外旅行者の場合、海外旅行保険を契約していないなど)には、全く治療が受けられないこともあるようです。
このように海外の治療費が高額になってしまう状況に対応して、ケガや病気の治療費用の補償について、保険会社によっては保険金額の設定を無制限とする商品(注1)も用意しています。
注1 ケガの場合は事故日から、病気の場合は治療開始日から一定期間内に要した治療費用に限るなど、一定の制限が設定されていることがあります。
〈盲腸(虫垂炎)手術入院の都市別総費用〉 | ジェイアイ傷害火災保険株式会社調べ |
都 市 | 総費用(円) | 平均入院日数 |
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ホノルル | 2,560,000 | 2 |
ロサンゼルス | 1,624,400〜2,165,800 | 2 |
バンクーバー | 1,108,600〜1,773,800 | 2 |
ロンドン | 1,302,800〜1,737,100 | 2〜3 |
ウィーン | 1,273,500 | 3〜4 |
ローマ | 1,217,600 | 4 |
アテネ | 1,136,500 | 3〜4 |
ゴールドコースト | 1,021,100 | 2〜3 |
マドリード | 1,014,400 | 5〜7 |
パース | 408,400〜1,002,100 | 3〜4 |
バリ | 831,600〜884,400 | 3 |
メキシコシティ | 758,000〜866,300 | 5〜6 |
シェムリアップ (アンコールワット) |
649,700〜866,300 | 3 |
パリ | 860,500 | 3 |
シンガポール | 154,800〜773,800 | 1〜2 |
プノンペン | 649,700 | 3 |
モスクワ | 533,900〜618,600 | 2 |
オークランド | 570,500 | 3 |
リスボン | 568,200 | 5〜6 |
イスタンブール | 520,900 | 4〜5 |
バンコク | 511,000〜 | 2〜3 |
オスロ | 477,900 | 4〜5 |
サンパウロ | 415,200 | 3 |
マニラ | 393,400 | 7 |
クアラルンプール | 234,200 | 3〜4 |
上海 | 112,500 | 7 |
ホーチミン | 92,000 | 3〜5 |
北京 | 45,000〜90,000 | 7 |
海外でケガをしたり病気にかかって治療を受ける場合には、様々な問題が発生してくることが考えられます。
具体的には、どこの医療機関で治療を受ければ良いのかが分かりにくいということ、高額な治療費をその場で支払うことが可能かどうかということ、そして症状の説明や治療方法など専門的な医療用語について外国語でコミュニケーションが図れるかどうかということなどが考えられます。こうした事態に対応するため、海外旅行保険では、保険金を支払うという保険商品としての本来的な機能のほかに、次のようなサービスを提供しています。
- 1.
- 病院や医師の紹介・予約
- 保険会社では、日本からの旅行者が多い海外主要都市に駐在窓口を設置したり、コレクトコールによる国際電話を通して24時間・年中無休体制でのサポートデスク(コールセンター)を国内に設置したりするなど、言葉や習慣が異なる海外で契約者がトラブルにあったときなどに、直接対面または電話で日本語による対応サービスを行っています。これにより、最寄りの病院やより設備の整った専門の医療機関の紹介・予約を受けることができるようになっています。
- 2.
- キャッシュレス治療の手配
- 保険会社では、現地で開業している病院や医療機関の評判、経営状況などをあらかじめ調べて、適切な病院や医療機関を選定したうえで提携交渉を行っています。具体的には、契約者がケガや病気で治療を受けた際には、保険会社に治療費用を直接請求してもらうことが可能かどうかを交渉します。交渉がまとまった病院や医療機関には治療費用を保険会社が直接支払うこととなりますので、契約者は高額な現金を持ち歩くことなく、また立替払いの必要(注2)もなく、キャッシュレスで安心して治療を受けることができます。
注2 現地の病院や医療機関で治療を受けた場合、基本的には、一旦その場で治療費用の全額を支払い、帰国後、その領収証を保険会社に提出して保険金請求を行うといった手続きを経て、はじめて保険金が支払われることとなります。キャッシュレス治療のサービスを行う商品で、保険会社が提携した病院で治療を受けると、保険金支払いに代えて、保険会社が治療費を支払ってくれるので、こうした手続きがいらないことになります。
- 3.
- 医療通訳の手配
- 保険会社は、必要に応じて受診時に通訳の派遣を手配します。電話による医療通訳サービスもあります。
- 4.
- その他のサービス
- 上記の他に、病人・ケガ人の緊急移送の手配、救援者の渡航手続き・ホテルの手配、パスポートを紛失・盗難された場合のサポートなどのサービスがあります。