問87 | 医療保険の契約前発病の保険金支払いに関しては、保険会社または代理店から契約時にどのような説明があるのでしょうか。 |
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- 答え
- 保険責任開始期より前に発生した疾病・傷害を原因とする保険金の支払事由については、正しく告知して契約した場合であっても、保険金を支払うことができないということなどの説明があります。
保険期間の開始前にすでに発生した疾病・傷害については、その治療が保険期間の開始後に行われていても、保険金支払いの対象外になることを始期前発病不担保といいます。始期前発病不担保条項は、医療保険のほか、がん保険、所得補償保険等の約款に規定されています。
医療保険では、次のような事項を重要事項説明書(契約概要・注意喚起情報)、ご契約のしおり、パンフレット等に記載して注意いただくようにしています。
- 保険期間開始より前に発生した病気やケガを原因とする保険金の支払事由については、正しく告知して契約した場合であっても、保険金支払いができない。
- 保険会社の責任が始まった時から一定年数(例:2年間)を経過した後に入院や手術を受けた場合には、これらは保険会社の責任が始まって以後の原因によるものと考え、保険金の支払対象となる。
日本損害保険協会では、金融庁の監督指針の内容を踏まえ策定した「契約概要・注意喚起情報に関するガイドライン」において、「通例でないと考えられる免責事由がある場合には、その旨を説明する」こととしています(注1)。また、「第三分野商品に関するガイドライン」では、保険責任開始期より前に発生した疾病・傷害の保険金支払いに関して募集資料等の記載・明示上で留意すべき点を整理しています(注2)。
注1「契約概要・注意喚起情報に関するガイドライン」(2021年6月改定)より抜粋
Ⅱ. 各論編
4. 医療保険
1. 契約締結前におけるご確認事項
- (2)
- 基本となる補償および保険金額の設定方法等
- ①
- 基本となる補償【契約概要】【注意喚起情報】
- b.
- 保険金をお支払いしない主な場合(主な免責事由)
免責事由は、利用者が商品選択を行うにあたって必要な情報との位置付けとなるため、いわゆる免責条項に限定することなく補償内容を限定する内容を記載する。
事故が発生した場合を想定し、利用者が知っておくべきと考えられる免責条項(あるいは補償対象外条項)を記載する。
なお、契約者にとって通例でないと考えられる免責事由がある場合には、その旨を説明する。
注2「第三分野商品に関するガイドライン」(2021年11月改定)より抜粋
Ⅱ. 保険募集に関する留意点
3. 第三分野商品における募集資料等の記載・明示上の留意点
- (3)
- 始期前発病不担保の適用について
始期前発病不担保の適用については、例えば、約款上、次の二つの取扱いのいずれかの類型が規定されている商品がある。 - ①
- 責任開始日からの経過期間にかかわらず、始期前発病については不担保とする取扱い
- ②
- 責任開始日から起算して一定期間経過後に保険金支払事由が発生した場合には、責任開始日以降の発病によるものとみなす取扱い
- 会員会社においては、始期前発病不担保の取扱いについて、注意喚起を要すると判断した場合は、重要事項説明書(契約概要・注意喚起情報)などに記載し、募集時に社員・代理店(募集人)等がお客さまに対して、明示する。
この場合、以下の例のような説明を個々のお客さまが自己の問題であると理解・認識できるよう、情報提供することが望ましい。
【募集資料記載内容例】
- 上記①の取扱いの場合
「責任開始期より前に発病した病気または発生した事故によるケガの治療を目的とした入院・手術等については、責任開始期からの経過期間にかかわらず、保険金お支払いの対象となりません(注)。- (注)
- したがって、責任開始期より前に発病した病気または発生した事故によるケガについて、正しく告知して契約した場合であっても、保険金支払いの対象外となる場合があります。特別な条件付きでご契約された場合も同様です。」
- 上記②の取扱いの場合
「責任開始期より前に発病した病気または発生した事故によるケガの治療を目的とした入院・手術等については、保険金お支払いの対象となりません(注)。
ただし、責任開始期から●年を経過した後に開始した病気または事故によるケガの治療を目的とした入院・手術等については、責任開始期以降に発病した病気または発生したケガによるものとみなします。- (注)
- したがって、責任開始期より前に発病した病気または発生した事故によるケガについて、正しく告知して契約した場合であっても、保険金支払いの対象外となる場合があります。特別な条件付きでご契約された場合も同様です。」