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からだの保険・他 / 医療保険

問83

医療保険は、どのような保険ですか。

答え
医療保険は、ケガや病気の結果、入院・通院した場合などに保険金が支払われる保険です。

健康保険などの公的な医療保険は、入院費・通院費の全額について支給されるわけではなく、一部自己負担が発生します。特に長期間入院した場合にはその費用が高額になることもあり、こうしたときに公的医療保険(健康保険など)を補完するのが医療保険の役割といえます。

傷害保険が「ケガ(傷害)」の補償であるのに対し、医療保険は「病気(疾病)」も補償されます。傷害・疾病に対し入院保険金・手術保険金を支払うことを基本にして、通院時の補償、退院後の療養時の補償、死亡したときに要する費用(葬祭費等)の補償、健康保険の対象外となるような先進医療を受けたときに要する費用(技術料等)の補償などを組み込むことにより、商品によっては補償内容が多岐にわたっています。また、損害保険会社だけでなく、生命保険会社などでも販売されていますので、支払われる保険金の種類・範囲・名称・支払限度額などを中心によく確認したうえで契約することが必要です。

医療保険で支払われる主な保険金は、次のとおりです。

保険金の種類 要 件 支払われる額
入院関係 傷害入院保険金 急激・偶然・外来の事故による傷害で入院(注1)したとき 傷害入院保険金日額×入院日数
(注2)
疾病入院保険金 疾病で入院(注1)したとき 疾病入院保険金日額×入院日数
(注2)
手術関係 傷害手術保険金 傷害入院保険金が支払われる場合で、その傷害の治療のため、所定の手術をしたとき 傷害入院保険金日額×所定倍率
(注3)
疾病手術保険金 疾病入院保険金が支払われる場合で、その疾病の治療のため、所定の手術をしたとき 疾病入院保険金日額×所定倍率
(注3)
その他 傷害通院保険金 傷害入院保険金が支払われる場合などで、退院後にその傷害の治療のため、通院したとき 傷害通院保険金日額×通院日数
疾病通院保険金 疾病入院保険金が支払われる場合などで、退院後にその疾病の治療のため、通院したとき 疾病通院保険金日額×通院日数
葬祭費用保険金 被保険者が死亡した場合で、その親族が葬儀費用を負担したとき 葬祭費用保険金額
先進医療
費用保険金
傷害や疾病で入院し、その治療のため先進医療を受けて技術料を負担したとき 先進医療費用保険金額

注1 医療保険における「入院」
「入院」とは、医師による治療が必要な場合において、自宅などでの治療が困難なため、病院または診療所に入り、常に医師の管理下において治療に専念することをいいます。このため、美容上の処置、正常分娩、疾病を直接の原因としない不妊手術、治療処置を伴わない人間ドック検査などによる入院については、医療保険では補償されないこととなります。

注2 1回の入院と保険期間中の通算入院の2つで限度日数を設定していることが多いです。

注3 手術の種類に応じた倍率(10倍、20倍、40倍など3つ程度に分けた倍率を設定して いることが多いですが、一律10倍や20倍としている場合もあります。)

医療保険では、主として次のような場合には、保険金が支払われません。

傷害・
疾病共通
1.
契約者、被保険者、保険金受取人の故意または重大な過失による身体障害
2.
被保険者の自殺行為・犯罪行為・闘争行為による身体障害
3.
被保険者に対する刑の執行によって被った身体障害
4.
戦争、内乱、暴動などの異常な事態による身体障害(注4)
5.
地震・噴火またはこれらによる津波による身体障害(注4)
6.
被保険者の頸部症候群(むち打ち症)・腰痛・その他の症状で医師による他覚所見のないもの
傷 害
1.
被保険者の無資格運転、酒酔い運転、麻薬・シンナーなどを使用した運転によって生じた傷害
2.
被保険者の精神障害の状態を原因とする事故による傷害
疾 病
1.
被保険者の麻薬・シンナーなどの使用による疾病
2.
被保険者の妊娠・出産(正常分娩でないと認められる場合を除く。)による疾病
3.
被保険者の薬物依存・アルコール依存による疾病

注4 保険金の支払いに該当した被保険者の数の増加が保険の計算の基礎に及ぼす影響が少ない場合は、その程度に応じて保険金の全額または一部が支払われるとしている商品があります。

この医療保険には、他保険に付帯(セット)して販売しているタイプ(特約商品)と医療保険だけで販売しているタイプ(単品商品)があります。

このほか、医療保険は保険期間の設定方法により定期型と終身型に分類することができます。前者の商品は、5年や10年で設定している例が多く、保険期間中は契約時の年齢に応じた保険料となりますが、契約を更新する際には更新時の年齢に応じた保険料となるため、保険料が高くなることがあります。また、5年・10年といった年数を決めるもののほか、60歳満期・80歳満期といった一定の年齢を定期として区切るものもあります。これに対し、後者の商品は、支払う保険料が契約時の年齢に応じた保険料のまま、保険期間の終了となる死亡時まで継続されるというものです。

公的医療保険(健康保険など)における高額療養費制度

  • ケガや病気で公的医療保険(健康保険など)を利用した場合、自己負担するのは医療費の一部(通常3割)です。ただし、長期入院などにより治療費が高額になったときは、自己負担額も高額になります。このように自己負担額が高額になった場合には、公的医療保険(健康保険など)の中に用意されている次の制度を利用することができます。
  • 「高額療養費制度」について
    この制度は、長期入院や治療が長引いたことにより、1か月の医療費の自己負担額が一定の金額(自己負担限度額)を超えた場合、超過部分の払い戻し(還付金の支払い)が行われるという制度(注5)です。ただし、入院時の差額ベッド代などは対象になりません。例えば、69歳以下で一般的な所得を得ている方は、以下の算式に基づく自己負担限度額が設定されています。

69歳以下で所得(月収28〜50万円未満)を得ている方の1か月の自己負担の上限額

( 医療費総額 − 26万7,000円 ) × 1% + 8万100円

〈例〉
1か月の医療費総額が50万円だった場合、上記算式にあてはめると、8万2,430円が自己負担額の上限となります。窓口では医療費総額50万円の3割である15万円を負担することになりますが、手続きを行うことで6万7,570円(15万円−8万2,430円)が払い戻されます。

注5 高額療養費の払い戻しには一定の時間を要するため、事前に保険者(市町村や健康保険組合など)に申請し、高額療養費の受領権限を医療機関に委任することにより、医療機関の窓口では自己負担限度額を支払うだけですむ「高額療養費受領委任払制度」もあります。

  • また、このほかに、高齢者を家族の一員とする世帯については、公的医療保険(健康保険など)と公的介護保険の両方を利用する場合があるので、「高額医療・高額介護合算制度」が用意されています。「高額療養費制度」と同様に、一定の金額を超えた場合に超過部分の払い戻しが行われる制度ですが、この一定の金額は年齢や所得などに応じて決められており、両方の公的保険を利用している世帯はさらに負担を軽減できる場合があります。詳しくは加入している保険者(市町村や健康保険組合など)に確認してください。

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